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女性の不動産投資 競売入札シミュレーション⑦京都地裁本庁編
今回も京都地裁本庁管轄の競売物件を見ていきたいと思います。
入札期間は令和2年6月4日~6月11日までです。
開札期間は6月18日なので、入札を検討される方はお急ぎください!
では、早速今回取り上げる競売物件を見ていきましょう。
事件番号 令和01年(ケ)第155号
売却基準価額 3,740,000円
買受申出保証額 748,000円
買受可能価額 2,992,000円
所在地:京都市下京区西木屋町通上ノ口下る梅湊町
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄骨鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):8階部分 13.10m2
間取り:ワンルーム
バルコニー面積:不明
管理費等:7,290円
敷地利用権:所有権
占有者:あり
築年月:平成1年12月
階:8階
総戸数:168
今回も最先の賃借権が付いています。
転借人が居住されている物件です。
3点セットの見るポイント
■物件明細書より
法人が賃借人として物件を借りています。
いわゆるサブリース契約です。
賃料は4万1500円です。
特約として下記のことが書かれています。
1.賃借人が第三者に転貸することを条件。
2.賃貸人は転借人との間で直接賃貸借契約等はできない。
3.原則契約期間中の途中解約禁止。目的物件の所有権が賃貸人以外に移転された場合は契約賃料3か月の解約金を賃借人に支払わねば契約解除できない。
4.更新料の支払なし。
5.賃料等の振込事務手数料は賃貸人負担。
6.転借人の家賃滞納がある場合は賃借人は回収後に賃料等を支払う。
7.期限の定め無し
8.敷金なし
上記の通りとなっています。
■現況調査報告書より
調査報告書が追加1、追加2と提出されているのが気になります。
転借人から転貸人への支払が
1.家賃32,000円
2.共益費8,000円
3.水道代2,000円
毎月42,000円の支払となっています。
★関係人の陳述等を見ると
〇転借人
1.私が居住している
2.所有者は転貸人だと思っていた。所有者のことはしらない。
★執行官の意見
添付資料の通りの占有状況を認定した。
★室内写真及び間取り
1.洋室6帖の1R
2.ユニットバス(浴室、洗面、トイレが一体)
3.下駄箱あり
4.ミニキッチンあり
※ガスコンロタイプ
5.バルコニーあり
6.男性単身が住んでいる様子。
室内の写真を見る限り生活実態が全く感じられません。
■評価書より
・経済的残存耐用年数は約15年
・エレベーターあり
・ランドリールームあり
・マンション全体の修繕積立金は約7200万円
規模を考えると十分積み立てはあります。
・完了検査は受けていますが、現在の法令に照らすと既存不適格と把握されている。
・ペット飼育不可
・すべて同じワンルームマンションタイプのように窺える。
・同じマンション内での取引事例がないため近隣の事例にて算出されている。
取引の参考価格は㎡単価392,000円です。
取引事例は共に競売の成約事例です。
投資シミュレーション
まずは、売却基準価額での入札をした場合のシミュレーションを見ていきましょう。
売却基準価格は374万円です。
賃借人からの家賃収入は4.15万円/月なので、年間だと49.8万円になります。
計算式
49.8万円÷374万円×100=13.31%(表面利回り)となりました。
では、成約事例の数字で購入価格(落札額)を計算してみます。
㎡単価392,000円×13.10m2=5,135,2000円となりました。
計算の簡略化のため513万円として計算します。
計算式2
49.8万円÷513万円×100=9.7%(表面利回り)となりました。
取引事例での目線は10%下回っていますが、立地を考えると10%を超える物件に巡り合うのは厳しいかも知れませんね。
そうなると近い数字で入札をしないと落ちないのか?
今回も最先の賃借権が付いているのと、少しややこしそうなことが書かれているため入札件数は多くないと思うのですが、京都の特性がわからないため、なんとも言えません。
競売で入札して落札することを前提で考えると、513万円から2割減で約410万円となります。
計算式3
49.8万円÷410万円×100=12.14%(表面利回り)となりました。
このあたりの金額で落札できるとまだ良いですね。
プラスして下記も見ておきます。
次に現在わかっている毎月の支出を考えてみましょう。
1.管理費等7,290円。約0.8万円として計算します。
4.15万円ー0.8万円なので毎月3.35万円が手残りのイメージです。
後は、水道代、保険料や固定資産税等などを月割りにする必要がありますが、そこは含めません。
月々3.35万円の収入なので年間40.2万円となります。
計算式1
40.2万円÷374万円×100=10.74%(表面利回り)となりました。
計算式2
40.2万円÷513万円×100=7.8%(表面利回り)となりました。
計算式3
40.2万円÷410万円×100=9.8%(表面利回り)となりました。
今回取り上げた物件では賃借人がサブリース会社として入っていますが、かなりサブリース会社にとってよい条件で契約がされています。
そして、現在の所有者が物件を購入した日以前に所有者と賃借人との間で賃貸借契約をされています。
本来は
1.所有者が物件を購入
2.名義変更日と同時に金融機関から借入(抵当権設定)
3.管理会社と契約もしくはサブリース会社と契約
4.賃借人もしくは転借人の募集
このように流れていくのが一般的ですが、
今回は
1.名義取得前の所有者と賃貸借契約
2.名義取得及び金融機関から借入(抵当権設定)
この順番が違うんですね。
なぜこのような仕組みになったのか?
理由はわかりませんが、推測する範囲では、抵当権が実行されて今回のような競売になった場合に最先の賃借権として自社の権利を保有することができることが狙いなのか?
穿った個人的な感覚で言うと何か裏があるように感じる物件に感じます。
また気になるのは中に住んでいる人の生活感がないこと。
それらを併せて考えるとよからぬことが頭をよぎります。
ちなみに、今回のサブリース会社はこのブログで取り上げている他の入札シミュレーションでもでてきています。
そして、神戸の競売物件でもお名前が出てきています。
たまたまかも知れませんが、今後の競売情報も見ながら進めて行こうかと思います。
ということで、今回取り上げてみましたが、個人的には入札は見送りする物件です。
6月18日の開札結果を見て皆様へまたご報告いたします。