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  • 執筆者の写真takayuki

女性の不動産投資 大阪地裁本庁 他の開札をピックアップ



6月17日に大阪地裁本庁で開札が行われました物件で500万円以下で落札され、かつ入札の札数が1件だけだった物件がありました。


今回はそちらの物件がどのような物件だったのかおさらいしてみたいと思います。


元のデータは残念ながら入札が終わりましたためBITでは閲覧することができません。


ダウンロードしていたデータより振り返ります。


 

事件番号令和01年(ヌ)第236号

売却基準価額:2,100,000円

買受可能価額:1,680,000円

買受申出保証額:420,000円


土地:

地積:43.10㎡(宅地一部公衆用道路)

所在:大阪市此花区高見三丁目


建物:

【一棟の建物の表示】

所在:同上

構造(登記): 木造瓦葺一部陸屋根2階建  

床面積:

1階:126.67㎡

2階:114.65㎡


【専有部分の建物の表示】

種類(登記):居宅 

構造:木造瓦葺一部陸屋根2階建

床面積(登記):

1階:30.47㎡

2階:26.82㎡

床面積(現況):

1階:30.47㎡

2階:約27.82㎡

合計:58.29㎡

間取り:3DK 

バルコニー:西向き

バルコニー面積 :あり

占有者 :債務者・所有者

築年月: 昭和42年9月


このような物件です。


では、いつものように3点セットの内容を見ていきます。


 

3点セットの見るポイント

 

■物件明細書より

こちらでは特に気になるコメントがありません。所有者が占有しているのみで、他人の権利などは記載がありません。


■現況調査報告書より

・表札は個人の表札のようです。

・郵便ポストには個人名と法人の名称と二つ掲示があるようです。

・私道負担が約9.8㎡と思われる。

・連棟式建物である。

・2階部分に増築が見受けられる。

・2階、屋根裏収納庫の各天井に雨漏りがある。


★関係人の陳述より

所有者のコメントより抜粋

・郵便ポストに掲示されている法人は所有者が代表を務める法人で、金銭のやり取りはない。

・建物東側の境界線は同隣地との間の半分と聞いている。

・1階DKは約10年前に改装。

・2階、屋根裏収納の各天井に雨漏りがある。

・平成30年の台風で屋根瓦の一部が飛び、ブルーシートで応急処置をしたまま。


★執行官の意見は添付されていませんでした。


★間取りと室内写真より

・間取りは1階にDKと和室、2階に和室二間

・トイレは1階と2階にあり。

・ベランダは西と東側と2か所あり。

・室内は生活されている家財道具など一式が散見されます。

・2階の雨漏り部分は雨漏りによる撓みが見受けられます。


■評価書より

・最寄駅より徒歩10分圏内

・前面道路は42条2項道路

建て替え時にはセットバックが必要になる可能性があります。

・公図参照になりますが、接面する地番90番11に持ち分(1/14)を有するようです。

※物件目録には90番11が記載されていないため、当然にその持ち分を所有できるわけではなと思われます。

その場合は、別途その持ち分を所有者から直接購入する必要があると考えられます。

・経済的耐用年数は約5年と判定

・基準額:3,397,000円


 

投資シミュレーション

 

それでは、売却基準価額より先ほどまでの事例を含めて見ていきたいと思います。


売却基準価額が210万円です。

今回は評価人による賃料のシミュレーションがついていませんでしたので、近隣の事例をレインズから拾ってみてみます。


2020年3月の成約事例が1件ありました。場所は同じ町名ではありませんが周辺です。

昭和57年築のテラスハウス。室内も和室のみです。広さも約53㎡の2階建てと同じような条件です。

こちらの賃料が55,000円で成約されていました。


なので、同じく55,000円を採用して計算していきます。


55,000円×12ヵ月=66万円(年間)


計算式1

66万円÷210万円×100=31.42%


計算式2

基準額で計算すると

66万円÷3,397,000円×100=19.42%


計算式3

基準額の2割減で計算すると2,717,600円

66万円÷2,717,600円×100=24.28%


このような計算となりました。


では、今回落札された金額で計算をしてみると


66万円÷1,890,099円×100=34.91%


このような結果となりました。

買受可能価額と売却基準価額の間あたりでの落札でしたので、落ちたらラッキー的な感覚で入札されたのだろうと予想できます。


 

上記の結果だけ見るとかなり優良な利回り物件に見えますが、気になる点としては皆さんお分かりの通り2点あります。


気になる点1


対象物件の南側に位置する地番の持ち分の扱いについては今回の競売では当然に移転されないため、その持ち分を譲り受ける必要があると考えられます。


これも事件番号が(ヌ)であるために起こった問題かもしれません。


※3点セットをしっかりと見ましたが、物件目録に持ち分の地番が記載されていないため個別の対応が必要になると考えます。


気になる点2


これは雨漏りの修繕等ですよね。

グーグルマップで物件の所在地を入力してみると見ることができました。

前面道路の扱いが42条2項道路になっていますが、グーグルマップで見る限り通路にしか見えません。

しかも道路の面する反対側の建物は建て替え等がいつ行われるか予測ができません。

まして、テラスハウスの連棟式建物なので単独で建て替えするのは厳しいように感じます。


そして、自分の家の屋根で雨漏りをしていれば自分の家の屋根の修繕で済みますが、これが隣接家も含まれるとかなり大ごとになります。

一緒に修繕するための費用を負担してもらえればよいですが、そうでなければすべて持ち出しする恐れがあるため注意が必要です。


以上この2点の事柄から入札数は1件に留まり、入札額も売却基準価額以下の金額で落札されたのだろうと考えれます。


一般の素人の方が手を出すにはかなり勇気がいる物件です。

なのでこの物件については私自身お勧めはしていないだろうと思った次第です。


安さと札数の少なさの理由はそんなところではないかと思いました。

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