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女性の不動産投資。競売入札シミュレーション神戸地裁本庁編①R2.7.21開札
6月22日から神戸地裁本庁で新たに入札が始まりました。
今回の入札件数は土地5件、戸建て18件、マンション7件の合計30件が開示されました。
その内からまずはマンションを対象として入札シミュレーションをしていきたいと思います。
事件番号 令和01年(ケ)第207号
売却基準価額 1,920,000円
買受申出保証額 390,000円
買受可能価額 1,536,000円
種別:区分所有建物
物件番号:1
所在地:神戸市北区泉台
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
専有面積(登記):
1階:32.17m2
2階:45.97m2
間取り:メゾネット型の3LDK
バルコニー:南・北向き(2階)
バルコニー面積:あり
管理費等:18,500円
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和55年5月
階:1階と2階
こちらの物件です。
今回の占有者は、賃借人や転借人ではなく所有者が占有者としてお住まい中です。
3点セットの見るポイント
■物件明細書より
・買受人が負担する他人の権利の記載はありません。
・占有状況は共有者らが占有しているとコメントがあります。
・その他買受の参考となる事項として
買戻特約登記があるようです。
「買戻特約登記は、本執行手続きでは抹消しない。
ただし、買戻権者から、買戻権の行使をせず、買戻特約登記の抹消登記手続きについて買受人に協力する旨の申出がある。」
このようなコメントが入っています。
※買戻特約とは?
簡単に言うと、売主が買主から売却した不動産を買い戻せる権利のことを言います。
一般的に買戻しの権利行使をできる期間を設けていることが多いので、すでに権利行使期間も満了しているのではないかと思います。
私が以前勤めていた会社でも同様の買戻特約が付帯している不動産は落札して販売もしました。コメントの記載通り、落札した後に買戻権者へ連絡を入れると抹消する手続きの書類を頂きましたので特に問題ないかと思います。
なので、今回の競売で落札したからといって、勝手に特約が抹消されるわけではないので別途、個人で手続きが必要になることを予めご注意ください。
■現況調査報告書より
・マンションというよりも団地の集合体のような感じです。
・管理会社が存在せず、マンションに住む住人による自主管理をされているようです。
・調査日の令和2年1月現在、滞納等はないようです。
・室内用の様子は経年程度の劣化が認められるようです。
・関係人の陳述等では共有者の一人がコメントを出しています。
特に気になるようなコメントはありませんでした。
□室内写真等より
・間取り図では1階と2階のメゾネットタイプです。
・1階は主にLDK
・2階は和室二部屋と洋室一部屋の居住スペースになっています。
・1階に専用庭があります。
・2階にバルコニーが2面あります。
・キッチンには湯沸かし器のようなものが見えます。恐らく給湯器からお湯を出すためのガスの引き込みが来ていないかもしれません。
・生活されていらっしゃるのがわかる家財道具などがあります。
・浴室はユニットバスではなく在来の浴槽です。
■評価書より
・経済的残存耐用年数は約5年程度です。
・エレベーターはありません。
・駐車場はあるようで、抽選になっているようです。
・建物全体の修繕積立金は約2000万円となっています。複数棟建っているようなので、個別での修繕積立金か全体か?までは確認をしないとわかりません。恐らく全体なような気がします。
・駐車場は月額6000円、専用庭使用料が月額580円が必要になるようです。
駐車場は利用される場合のみです。専用庭使用料は物件についているので必須です。
・基準とされている㎡単価は48,000円です。
・賃料の目安は55,000円として試算されています。
投資シミュレーション
それでは、売却基準価額より先ほどまでの事例を含めて見ていきたいと思います。
売却基準価額が192万円です。
評価人参考の見込み家賃収入が5.5万円(共益費込み)です。年間で66万円となります。
計算式1
66万円÷192万円×100=34.37%(表面利回り)となりました。
続いて、取引事例での価格を基に計算しています。
㎡48,000円×78.14㎡=3,750,720円となりました。
約375万円として計算します。
計算式2
66万円÷375万円×100=17.60%(表面利回り)となりました。
およそ半分近い利回りまで減少しました。
競売で入札して落札することを前提で考えると、375万円から2割減で約300万円となります。
計算式3
66万円÷300万円×100=22%(表面利回り)となりました。
一番高い試算額の計算式2を見ても15%以上回っているので悪くはないですね。
そして、計算式1と計算式3を見るとさらに利回りが高いのがわかります。
入札時のワンポイント
利回りの数字だけを見ると一見、魅力的な物件ですが、物件がある場所を鑑みてどれだけの重要があるのか?その点も注意が必要でしょう。
また、投資物件として取れ得るならば、面積も70㎡以上となりますため、改装費もそれなりに必要となります。
しっかりと物件の地域性を考えて改装内容と家賃設定を踏まえた入札額にすることをお勧めいたします。
最後に、所有者が占有者として住んでいますが、ご家族で住んでおられるようなのでよっぽどのことがない限り、退去交渉でもめることはなさそうです。
しかし、所有者が住んでいる場合は、家への思い入れや思い出などがあるため、話し方を間違えると退去まで長期戦になることも考えられますし、最悪の場合は強制執行も十分あり得ますのでご注意ください。