takayuki
女性の不動産投資。競売入札シミュレーション神戸地裁尼崎支部編②R2.8.6開札
さて、今回取り上げるのは神戸地裁の尼崎支部の競売物件です。
前回に続き1Rの不動産投資向けの物件です。
前回ご紹介の物件に似通っているのでもしかすると・・・
事件番号 令和01年(ケ)第105号
売却基準価額 1,810,000円
買受申出保証額 370,000円
買受可能価額 1,448,000円
種別:区分所有建物
物件番号:1
所在地:尼崎市立花町二丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):4階部分 15.83m2
間取り:ワンルーム
バルコニー:北向き
バルコニー面積:あり
管理費等:12,000円
敷地利用権:所有権
占有者:あり
築年月 平成2年9月
階:4階
総戸数:13
今回取り上げる物件はこちらの物件です。
3点セットの見るポイント
■物件明細書より
・買受人が負担することとなる他人の権利として
【物件番号1】
賃借権:
範囲:全部
賃借人(転借人):A
期限:定め無し
賃料:月額44,000円(共益費6,000円含む)
賃料前払い:なし
敷金・保証金:なし
特約:なし。
※上記賃借権は最先の賃借権である。
・物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号1】
現賃借人【法人A】の賃借権は、正常なものとは認められない。
■現況調査報告書より
・占有者が住んでいます。(お部屋を借りている方が住んでいます)
・滞納はないようです。調査日時点です。令和元年12月時点。
・平成22年2月から占有者は入居されています。
・占有者及び占有権原に記載されている内容をまとめると
1.所有者←→賃借人【法人A】(転貸人)間の契約内容
◎契約:平成29年7月~
◎賃料等:44,000円
◎その他として
本物件を賃借人の選択した第三者(転借人)に転貸することを条件とする。
転借人の情報を開示しない。賃貸人は転借人の選択変更に異議を述べられないものとする。
と、契約書に記載があるようです。
2.賃借人【法人A】(転貸人)←→転借人【A】
◎契約:平成25年2月~
※現在の契約関係は、上記の期日からの法定更新であるようです。賃料には共益費月額6,000円を含めているようです。
◎賃料等:44,000円(共益費6,000円含む)
※当初の貸主代理との賃貸借契約を引き継いでいるそうです。
★関係人の陳述等より
・占有者より
1.賃借名義人の親族が住んでいる。
2.賃貸借契約日と同日の平成22年2月から入居している。
・従前の貸主代理より
1.以前は貸主代理として当社と借主との間で契約関係があった。その後、建物の所有者が代わった関係で、当社との賃貸借契約は解除となり、現在の賃借人は当社とは関係がありません。
・賃借人(転貸人)法人Aの従業員より
1.当社は、建物所有者の「E」氏から同人を賃貸人、当社を賃借人として、第三者に転貸することを目的として、平成29年7月に貸室賃貸借契約を締結している。
2.登記事項証明書に記載の通り、当社から現在の所有者に平成29年7月売買で所有権移転しており、その日付に合わせている。貸室賃貸借契約書の写しを提示。
3.建物所有者との契約により、「A」氏に転貸している。
4.入居者は、契約書の親族である「B」氏。
5.貸主代理と借主「A」氏との賃貸借契約を引き継ぎ、その当事者間の平成25年2月の賃貸借契約書を流用している。
6.建物所有者及び転借人との各契約期間の終了時の契約更新については、以後自動更新になるものとして、何も手続きはしていない。
・占有関係について
物件所有者に対し、照会書を郵送したが回答はなし。
□室内写真等より
・洋室1部屋の1Rです。
・浴室、トイレ、洗面が同室のユニットバス
・収納あり
・バルコニーあり
・洗濯機置き場は恐らく外置き
・ミニキッチンあり
・お部屋の様子は生活用品が見受けられます。
・室内は丁寧にご利用されている様子が窺えます。
■評価書より
・最寄駅より徒歩約7分程度の場所のようです。道路距離約550m。
・経済的残存耐用年数は約10年となっています。
・エレベーターはありません。
・駐車場があるようです。
・マンション全体の修繕積立金は約763万円。
・評価算定の基準額が土地、建物の合計で2,580,000円となっています。
・賃料と共益費込みで4.4万円/月。年間だと52.8万円となります。
投資シミュレーション
それでは、売却基準価額より先ほどまでの事例を含めて見ていきたいと思います。
売却基準価額が258万円です。
家賃収入が4.4万円で計算します。年間で52.8万円となります。
計算式1【売却基準価額での計算】
52.8万円÷181万円×100=29.17%(表面利回り)となりました。
続いて、基準額での価格を基に計算しています。
約258万円として計算します。
計算式2【基準額での計算】
52.8万円÷258万円×100=20.46%(表面利回り)となりました。
計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
52.8万円÷206万円×100=25.63%(表面利回り)となりました。
上記の結果になりました。
一番低い表面利回りの計算でも20%を超えています。
安定した収益を見込める一方、賃借人(転貸人)の存在が不明確です。
それも踏まえて入札予測を立てると
計算式2の258万円このあたりで様子を見ても良さそうな気がします。
入札時のワンポイント
前回ご紹介した尼崎支部の入札物件でも同様の記載がありました。
確かに考えると、賃借人が先に契約している分は何ら不思議ではないのですが、現在の賃借人の存在の意義ですよね。
資料をご覧頂くとわかるのですが、
①賃借人(転貸人)と転借人(占有者)との契約にかかる賃料等が44,000円
そして、
②賃貸人(所有者)と賃借人(転貸人)との契約にかかる賃料等も44,000円
場合によって、②の賃料等が安く①の賃料等の方が高いケースも見受けられました。
それって、賃借人(転貸人)は損をしていることになります。
なぜそんな契約形態を締結しているのか?ただただ不思議でしかなかったです。今回は右から左で利益がないことも考えると何か裏であるのではないか?
そう勘ぐってしまいます。
単なるサブリース会社が入っている物件だとそこまで深刻に考えることは少ないですが、どうもどこかで引っかかってしまいます。
収益としてお金が入ってきてるからいいよ。って割り切られる方はよいですが、少しでも不安に感じられる方は見送りする方が賢明でしょう。